FABE(ファブ)分析を活用して刺さるプレゼンや広告を考えよう

FABE分析を活用して刺さる広告やプレゼンを考えよう マーケティング

こんにちは、ウスイです。

商品・サービスをPRする広告やプレゼンを、時間と労力をかけて作ったのに、ターゲットに全然刺さらず、期待していたほどの効果・反響を得られなかったという経験はないですか?

ユーザーの購買意欲を刺激するためには、商品・サービスを購入することで、ユーザーにはどのような「変化・未来・価値」がもたらされるのか?といった、ユーザーにとっての「ベネフィット」をしっかりと提案や広告などの中で、紹介することが大切です。

今回紹介する「FABE分析」は、商品・サービスのベネフィットを明確化するのに役立つフレームワークのひとつです。「FABE分析」を活用することで、プレゼンや広告に盛り込むべき商品・サービスの「ベネフィット」が明確になり、効果や反響の得られやすいプレゼンや広告が作れるようになります。

FABE(ファブ)分析とは?

FABE分析とは

商品・サービスを宣伝したり、プレゼン資料を作る時に、商品の機能や特徴、価格などの情報を盛り込めば、それなりに「しっかりしたもの」に仕上がっているように見えます。
しかし、見た目は良い感じだったとしても、その広告・プレゼンを見た人が「ベネフィット」を感じられなければ、購入を検討することはありません。

ユーザーはベネフィットを感じて、初めて購入の検討に入るので、広告やプレゼンなどを作る時に大事なのは、商品・サービスのベネフィットをしっかりとユーザーに伝えることです。

では、自分の売りたい商品のベネフィットって一体なんだろう?

そして、商品のベネフィットは一体何か?を考える時に、役立つのが「FABE分析」というフレームワークです。
以下4つの項目・観点から商品・サービスの分析を行うことから、それぞれの頭文字を取って「FABE(ファブ)分析」と呼ばれています

Feature:商品・サービスの機能、特徴、概要
Advantage:競合に対する優位性
Benefit:顧客の便益(商品を買うことでもたらされる未来・変化・価値)
Evidence:根拠、証拠

プレゼンや広告、販促資料などをFABE分析のフレームワークに合わせて、「Feature → Advantage → Benefit → Evidence」という順番・構成で作っていくと、商品の特徴・機能やベネフィットがユーザーにしっかり伝わる、より説得力のある内容に仕上げることができるようになります。

ただ、FABE分析を使いこなすためには、FABE分析を構成する、4つの項目のそれぞれの意味・定義をしっかりと理解しておく必要があります。
この部分の理解があやふやだと、商品の機能や特徴、ベネフィットを正確に整理・分析できず、訴求ポイントがズレてしまうので、まずはFABE分析を構成する、各項目の意味を理解しておきましょう。

FABE分析の「Feature」:機能、特徴、概要

Featureは、商品・サービスの機能や特徴、またはそれらを端的に述べた概要のことで、「一体どんな商品なのか?」という問いへの答えとなるものです。

FABE分析の「Advantage」:競合に対する優位性

Advantageとは、あなたの売りたい商品と競合商品を比較した時に、競合よりも優れている部分(優位性)のこと。
FABE分析でよく間違えがちなのが、「売り手の目線(主観)で見た、商品の優れているところ」を「優位性」と考えてしまうことです。Advantageとは、あくまで「競合と比べて、自社の商品が優れているところ」なので、「他社商品と比べて、充電速度が2倍の速さ」とか、そもそも他社商品には無い、独自機能を搭載している、などが「優位性」にあたります。

FABE分析の「Benefit」:顧客の便益

Benefitとは、顧客の便益のこと。さまざまな機能や特徴(Feature)、優位性(Advantage)を持つ、その商品・サービスを購入することで、ユーザーがどのような「未来・変化・価値」を得ることができるのかを表すものが、ベネフィットです。

この「ベネフィット」と「メリット」の意味を混同している人が多く、商品・サービスのPRを行う時に機能や特徴、優位性の部分を「ベネフィット」として紹介して、本当のベネフィットの紹介が抜け落ちてしまっているケースをよく目にします。
マーケティングの世界では、「ベネフィット」と「メリット」の意味は異なり、この2つの言葉は明確に使い分けがされているので、それぞれの意味・違いをよく理解しておく必要があります。

ベネフィットとメリットの意味や違いについて、詳しく知りたい人は以下の記事で紹介しているので、ぜひ見てみてください。

FABE分析の「Evidence」:根拠、証拠

Evidenceとは証拠、根拠という意味で、FABE分析の「Feature(機能・特徴)」「Advantage(優位性)」「Benefit(顧客の便益)」で説明・紹介している内容が事実であることの、証明・裏付けとなるような情報・データのことを言います。

広告やパンフレットなどでは、「お客様の声」などのユーザー評価や、導入実績、実験データや統計データなどが「Evidence」としてよく用いられます。

FABE分析を活用するメリット

FABE分析を活用するメリット

このFABE分析を活用すると、商品・サービスが持つ機能・特徴、優位性、ベネフィットなどを感覚や思いつきではなく、ロジカルに導き出すことができ、ユーザーに刺さりやすい、訴求力のある提案や広告、販促物を作ることができるようになるのが、FABE分析を活用するメリットです。

広告や販促資料(パンフレット等)の企画・製作の経験がない人でも、FABE分析のフレームワークに合わせて、商品・サービスが持つ特徴やベネフィットなどを整理していけば、ユーザーに伝わりやすい内容を考えることができます。
また、同じプロジェクトのメンバーたちとブレストをする時に使えば、メンバーが一緒にフレームワークに合わせて考えることができ、メンバー間の認識にズレが生じて意見がまとまらない、なんてことにもなりにくいです。

FABE分析はどんな時に活用できるのか?

FABE分析は、以下のようなコンテンツを作る時に活用できます。
訴求力のある広告や販促物などをよく見てみると、FABE分析のフレームワークに合致する、あるいは非常に近い形になっていることが多いです。
また、訴求力のあるコンテンツを作れる人の場合、FABE分析自体は知らなくても、自身の経験を通じてFABE分析に近い発想で、コンテンツを考えている人が意外と多いです。

以下のようなコンテンツを作る時に、FABE分析のフレームワークが活用できる。

・カタログ、パンフレットなどの販促物
・広告宣伝
・Webサイトの商品ページや、ランディングページ
・プレゼン資料
・セールストークのスクリプト(台本)

FABE分析のカギは「順番」にある

FABE分析のカギは「順番」にある01

プレゼンや広告を作る時に、内容にFABE分析の4つの項目をただ入れればオッケー、というわけではありません。
ユーザーに説得力・納得感を与える内容にするためには、FABE分析の「Feature」「Advantage」「Benefit」「Evidence」という順番で、商品・サービスの紹介を行うことがカギとなります。

参考例として、「手軽に使えるアンチエイジング商品に関心のある、30代の働く女性」をターゲットにした「乳液」の紹介を、FABE分析で考えてみます。

30代の働く女性向け「乳液」のFABE分析

<1.Feature=機能・特徴・概要>
サラッとした肌触りでベタつかないのに、保湿効果の高い乳液

<2.Advantage=競合に対する優位性>
競合商品よりも低価格だが、容量は多く保湿効果も高い

<3.Benefit=顧客が得る未来・変化・価値(顧客の便益)>
お手頃価格ながら容量も多く、保湿効果も高いので、値段を気にせず毎日使える。忙しい毎日を過ごす女性でも、外出前や入浴後にサッと塗るだけで、もっちり若々しく見えるツヤ肌になれる。

<4.Evidence=根拠、証拠>
人気女性ファッション雑誌で、読者が愛用する乳液ランキングで長期にわたり、1位を獲得。

この乳液のFABE分析の流れを見ていくと

①まず最初に商品の「機能・特徴」を紹介し、「どんな商品なのか?」を伝える。
②競合商品に対する「優位性」を説明し、「コスパの良い商品」であることを伝える。
③「ベネフィット」の紹介で、「この乳液なら、効果的なケアを簡単にできるようになる」という未来・変化・価値をイメージしてもらう。
④最後の「根拠・証明」の部分で、「多くの女性の支持を集める商品」という実績を紹介し、ユーザーに「信頼感・安心感」を与え、購入に向けて背中を押す。

という流れで商品を紹介していき、ユーザーに説得力・納得感を与えながら、購買意欲を刺激していく流れになっているのが、わかると思います。

順番を間違えると、商品の良さが伝わりにくくなる

FABE分析のカギは「順番」にある02

これがいきなり最初に、「女性ファッション雑誌で人気1位の乳液」の話から始めてしまったらどうでしょうか?
ターゲットの忙しい30代女性が求めているのは、「手軽に使えるアンチエイジング商品」であって「女性ファッション雑誌で人気1位の乳液」ではありませんよね?

「女性ファッション雑誌で人気1位」という評価・実績は、購入への最後のひと押しに必要となる「安心感・信頼感」を与える情報であって、1番最初に紹介する内容としては的外れなわけです。

だからこそ、FABE分析ではまず前半で商品の「機能・特徴(F)」と「優位性(A)」を紹介し、「この商品はあなたのニーズに合う商品です」ということを伝え、次に「購入すれば、こんな良いことがあります」という「ベネフィット(B)」を紹介、最後に「安心感・信頼感」を与える「根拠・証明(E)」を提示してユーザーの背中を押す、という流れになっているわけです。

ユーザーの興味・関心をひきつけ、説得力・納得感を与えながら、商品の紹介を行うためには「FABE」という、この順番がカギとなっているので、覚えておきましょう。

商品・サービスはベネフィットを得るための「手段・通過点」

商品・サービスはベネフィットを得るための「手段・通過点」02

商品・サービスのPRでよくやってしまいがちなのが、機能やスペック面のPRばかりに終始して、「その商品・サービスを購入することで、ユーザーにどんな良いことがあるのか?」という、ベネフィットについての紹介が全然されていないパターンです。

たとえば、ダイエットサプリを買う人は、もちろん痩せたいという気持ちがあるのは事実。ただ、多くの人は「痩せた先にある、手に入れたい未来・変化・価値」があるからこそ「痩せたい」と感じるわけですよね。
つまり、ユーザーが求めているものは、「痩せることによって、自分はこうなりたい」という未来や変化そのものなので、商品・サービスはユーザーがベネフィットを得るための「手段・通過点」でしかないということです。
だからこそ、ダイエットサプリのPRでは、「痩せることによって手に入る未来・変化・価値」をユーザーに訴求し、痩せた自分自身の未来をイメージしてもらうことが大切になってくるわけです。


いくら価格や特徴、機能などをPRしても、ベネフィットが盛り込まれていない提案や広告では、ユーザーに商品を購入した後の「自分の未来・変化・価値」をイメージさせることができず、購入意欲を刺激することはできません。
ターゲットに刺さりやすいプレゼンや商品のPRをしたい場合は、このFABE分析を活用して商品・サービスのベネフィットについて、考えてみましょう。