何となく使ってない?「メリット」と「ベネフィット」の意味とその違い

メリットとベネフィットの意味とその違い マーケティング

こんにちは、ウスイです。

ビジネスやマーケティングにおいてよく使われる「メリット」と「ベネフィット」という言葉、皆さんはこの2つの言葉の意味や違いをご存知でしょうか。
どちらも何となく似たような意味として捉えて、深く考えずにこれらの言葉を使っていませんか?

「メリット」と「ベネフィット」の違いを理解していないせいか、商品・サービスのPRを行う際に「メリット」ばかりをPRして、大切な「ベネフィット」のPRが全然されていないケースをよく目にします。
広告宣伝や営業のセールストークなどを通じて、自分たちの商品やサービスに価値を感じてもらい、購入してもらうためには、ユーザーに「ベネフィット」を伝えることが大切です。
そのためには、まず「メリット」と「ベネフィット」の意味や違いについて、きちんと理解しておく必要があります。

そこで、この記事では「メリット」と「ベネフィット」の意味や違いについて、詳しく紹介していきます。

「メリット」と「ベネフィット」の違いを理解しよう

メリットとベネフィットの意味や違いを理解しよう

普段の会話の中で、何となく似たような意味で使われることが多い「メリット」と「ベネフィット」ですが、これらには主に以下のような意味があります。

<メリットとベネフィットの意味>
・メリット:利点、長所
・ベネフィット:利益、恩恵

メリットとベネフィットの意味を辞書で調べてみると、どの辞書にも上記のような意味が載っていると思います。
確かに、これだけ見ると「何となく似ている言葉」という印象を持ち、混同して使ってしまうのも無理がないかもしれません。

しかし、マーケティングにおいて、メリットとベネフィットという言葉を使う場合は、まったく意味が異なり、これら2つの言葉の意味と違いを理解した上で、使い分ける必要があります

マーケティングにおける「メリット」とは

マーケティングにおけるメリットとは

マーケティングにおいて、商品やサービスの「メリット」について言う場合、主に以下のような意味で使われます。

<商品・サービスが持つ以下の要素を「メリット」と言う>
①特徴や機能
②長所
③評価されるべき点
④競合と比べた際の優位性(有利な点)

このように、商品・サービスが持つ特徴や機能、長所、評価されるべき点、他社の商品・サービスと比べた時の優位性などのこと、マーケティングでは「メリット」と表現します。

マーケティングにおける「ベネフィット」とは

マーケティングにおけるベネフィットとは

一方、商品・サービスの「ベネフィット」といった場合には、主に以下のような意味で使われます。

<商品・サービスの「ベネフィト」とは>
その商品・サービスを購入することでユーザーにもたらされる以下のような利益を指す。
①良い変化
②良い影響
③明るい未来

さまざまな特徴や機能、優位性といった「メリット」を持つ商品・サービスを購入した結果、ユーザーには「一体どんな良い変化、影響、未来がもたらされるのか?」を表すのが、「ベネフィット」です。

より理解を深めてもらうために、デスクチェアのメリットとベネフィットを例にして、考えてみたいと思います。

例:デスクチェアのメリットとベネフィット

デスクチェアのメリットとベネフィット

たとえば、以下のような商品説明が書かれたデスクチェアのパンフレットがあります。

①人間工学に基づいて設計されたデスクチェア
②正しい姿勢で座ることができるので、腰に負担がかからない
③背もたれの角度や、座高を自由に調整可能
④業界最長の製品3年保証
⑤カラーバリエーションは8色

「人間工学に基づいてデザインされている」や「正しい姿勢で座ることができるので、腰に負担がかからない」、「カラーバリエーションは8色」は、このデスクチェアの特徴にあたりますよね。
そして、「背もたれの角度や座高を自由に調整可能」は機能、「製品3年保証」は競合製品と比べての優位性にあたる部分です。

つまりこれらが、このデスクチェアの持つ「メリット」になります。

その一方で、このような「メリット」を持つデスクチェアの「ベネフィット」は一体何なのか?を考えてみた場合

<デスクチェアのベネフィット>
・長時間座っていても腰が痛くならないので、勉強や仕事に集中ができ、作業効率が高まる
・背もたれや座高を自身の体格や好みに合わせて、リラックスしやすいよう調整できるので、ずっと座っていたくなるような心地良さが味わえる
・カラーバリエーションが豊富なので、自分の部屋の雰囲気やインテリアのデザインと合わせやすく、部屋の美観を損ねない

などなどがベネフィットとして考えられるのではないでしょうか。

さまざまな特徴や機能、優位性といった「メリット」を持つ、商品・サービスを購入した結果、ユーザーには「一体どんな良い変化、影響、未来がもたらされるのか?」を表すのが「ベネフィット」であると説明しました。
デスクチェアのベネフィットとして挙げた内容を見てもらうと、デスクチェアの持つ「メリット」によって、ユーザーに一体どんな良い変化や影響、未来がもたらされるのかが、「ベネフィット」として表現されているのかがわかるかと思います。

なぜベネフィットを伝える必要があるのか?

なぜベネフィットを伝える必要があるのか?

これまで「メリット」と「ベネフィット」の意味と、その違いについて説明してきました。続いては、そもそもなぜ商品やサービスのベネフィットをお客さんに伝える必要があるのか?について説明したいと思います。

売り手は「メリット」ばかりをPRしがち

売り手はメリットばかりをPRしがち

商品やサービスをターゲットにPRする際に、多くの売り手は商品の機能や特徴といった「メリット」のPRばかりをしてしまい、肝心のベネフィットのPRができていない、というケースをよく目にします。

たとえば、デジタルカメラのPRの場合、「2050万画素」や「4K/60fpsの動画撮影に対応」、「手のひらサイズのコンパクトカメラ」など、画質や特徴に関する紹介ばかりで、肝心のベネフィットの提示が全然されていない、みたいなケースがよくあります。

カメラに詳しいユーザーであれば、こうした機能や特徴の紹介を見て、自分の頭の中でベネフィットを自然と思い浮かべることができるかもしれないですが、パンフレットや広告を目にする方が皆、カメラに詳しいわけではありません。

しかし、例えば

「手のひらサイズのカメラでありながら、美しい写真や映像を簡単に撮れるので、いつでも気軽に持ち歩いてお子さんの成長を逃さず、思い出として残すことができます」

上記のように、このカメラを購入することで得られるベネフィットを伝えてあげれば、カメラに詳しくない方でも、このカメラの持つ価値が伝わり「欲しい」と思ってもらえる可能性が高まるわけです。

人は商品を購入するときに、その商品の持つ特徴や機能といった「メリット」に価値を感じて購入するのではなく、その商品を購入することで得られる「良い変化、影響」や「明るい未来」に魅力や価値を感じ、購買意欲を刺激されて「欲しい!」と思うのです。

メリットは商品・サービスが主役の自己紹介

メリットをPRするというのは、商品・サービスを持つ機能や特徴、優位性などを紹介することなので、いわば「商品・サービス」が主役となる自己紹介であり、購入したお客さんに「何をもたらしてくれるのか?」についてのメッセージは含まれていません。

恋愛に置き換えてみると、メリットのPRとは、初対面の相手に自身の出身地や学歴、経歴、趣味や収入などの、自身のスペック情報を相手に紹介するのと同じようなものです。
もちろん、恋愛や結婚において学歴や収入といったスペック情報も、重要な判断材料の一つであり、相手に興味を持つきっかけにはなりますが、合コンやお見合いで自分のスペック自慢ばかりをしてくる相手に、「付き合いたい」とすぐに好意を持つ人は、意外と少ないのではないでしょうか。

ベネフィットは、お客さんが主役となるメッセージ

一方、ベネフィットをPRするということは、この商品を買うことによって、あなたにはこのような良い変化、影響、明るい未来が訪れることになります、という「お客さん」が主役となるメッセージです。

これは恋愛に例えると、「この人とお付き合いしたら、こんな楽しい毎日を過ごすことができそう」といった、明るい未来や生活の変化を相手にイメージしてもらうことで、「この人とお付き合いがしたい!」と思ってもらうのに似ています。

お客さんにとって商品・サービスの購入は、お客さんにとっての「嬉しい変化」や「明るい未来」といった、「ベネフィット」を手に入れるための手段・通過点に過ぎません。
だからこそ、商品・サービスを宣伝・PRする際は、「購入することでどのようなベネフィットが得られるのか」をしっかりと伝え、お客さんに商品・サービスに価値を感じてもらうことが重要なのです。

「で、だから何なの?」に答えるのがベネフィット

「で、だから何なの?」に答えるのがベネフィット

商品・サービスに価値を感じてもらい、購買意欲を刺激するためには「ベネフィット」を伝えることが大事だということは、これまでの説明でわかってもらえたと思います。

そこで次に重要となってくるのが、商品やサービスの持つベネフィットは一体何のか?を明らかにすることです。まず、そのためには商品・サービスの持つメリットを洗い出す必要があります。
なぜなら、ベネフィットというのは「メリットの先」に存在するものだからです。

いろいろなメリットを持つ商品・サービスを購入することで、ユーザーにもたらされる良い変化や影響、未来を表したものが「ベネフィット」なので、まずは商品・サービスにどんなメリットがあるのかを先にはっきりさせないと、ベネフィットを導き出すことはできません。

メリットの先にあるのがベネフィット

しかし、皆さんも実際に商品やサービスのメリットを洗い出し、いざそこからベネフィットを考えてみると、意外と難しいもので慣れないうちは、なかなかベネフィットを導き出せなかったりすると思います。

そんなときにおすすめなのが「で、だから何なの?」という問いかけです。

「この商品に、こんなメリットやあんなメリットがあるのはわかりました」

で、だから何なの?

この問いに答える部分こそが、その商品・サービスの「ベネフィット」になるわけです

さきほどのデスクチェアのメリットとベネフィットを例にしてやってみると

「人間工学に基づいたデザインで、正しい姿勢で座れるから腰に負担がかからないというメリットがあります」

で、だから何なの?

長時間座っていても腰が痛くならないので、勉強や仕事に集中しやすく、作業効率が上がります(ベネフィット)

どうでしょうか?洗い出されたメリットに対して、「で、だから何なの?」と問いかけることで、それに対するベネフィットが導き出しやすくなりませんか?

商品やサービスのベネフィットを考えるときに、慣れないうちはなかなかスラスラとは出てこないので、そういう時は「で、だから何なの?」と、問いかけをしてみてください。

誰に向けて伝えるのかによって、ベネフィットは変わる

ここまでの説明で「メリット」と「ベネフィット」の違いや、商品・サービスの購買意欲を刺激するためには、ベネフィットを伝える必要がある、ということはわかってもらえたのではないでしょうか。

そこで最後に大事なことをお話しようと思います。それは、たとえ同じ商品・サービスであっても、それをどのような人たちに宣伝PRして訴求したいのかによって、伝えるべきベネフィットは変わるということです。

たとえば、以下のような特徴・売りを持つ会員制スポーツジムのベネフィットについて考えてみましょう。

<会員制スポーツジムの特徴>
①フィットネス、トレーニングに関する専門資格を持ったインストラクターが多数在籍
②15種類の最先端トレーニング器具を完備
③トレーニングルームや温水プールは24時間利用可能

ガッツリとハードにトレーニングをしたい、トレーニング上級者をターゲットにするのであれば、以下のようなベネフィットを伝えれば、このジムに魅力を感じてもらうことができるかもしれません。

<ベネフィット>
①専門資格を持つインストラクターが多数在籍しているので、科学的で効果的なトレーニングの指導サポートを受けることができる。
②15種類の最先端トレーニングを完備しているので、トレーニング計画を組んで筋肉のさまざまな部位を鍛えることができる。
③トレーニングルームや温水プールは24時間利用できるので、トレーニングしたい時にいつでもガッツリと、思う存分トレーニングに取り組むことができる。

しかし、運動不足解消やダイエットのためにジムに通いたいけれど、それほどガッツリ、ハードにトレーニングしたいとは考えていない、トレーニング初心者をターゲットにした場合、上記のベネフィットに魅力を感じて「このジムに入会したい!」とは、きっとならないでしょう。

運動不足解消やダイエットを目的にジム通いを考えている、トレーニング初心者の場合、おそらく「定期的にジムに通い運動する」こと自体がハードルが高く、挫折するポイントになる可能性があります
よって、このようなトレーニング初心者をターゲットにPRする場合は、「このジムなら挫折せずに、通うことができそう」と思えるようなベネフィットを提示してあげることが大切です。

<ベネフィット>
①専門資格を持ったインストラクターが多数在籍しており、自分にあったトレーニング方法やトレーニングの計画づくりを、優しく指導してもらうことができるので、初心者の方でも安心して通うことできる。
②15種類の最先端のトレーニング器具を完備しているので、飽きずにトレーニングすることができる。
③トレーニングルームや温水プールは24時間利用可能なので、忙しい方でも空いている時間や、仕事終わりに来て、いつでもトレーニングすることができる。

定期的にジムに通って運動すること自体が、なかなかハードルが高く、習慣化するのが難しいトレーニング初心者にとっては、「飽きずにトレーニグできる」「インストラクターから優しく指導・サポートしてもらえる」「ジムやプールは24時間利用できるので、仕事終わりなどにも行きやすい」といった部分をPRすることで、「このジムなら通うことができそう」と、このジムに魅力を感じてくれる可能性が高まるはずです。

このように、まったく同じ商品・サービスであっても、どのような人たちに向けてPRするのかによって、伝えるべきベネフィットは変わってきます。
だからこそ、商品・サービスをPRする時は「どのような人たちに購入してもらいたいのか?」を明確化し、自分たちの商品・サービスにとっての具体的な顧客像(ペルソナ)を決めることが、とても重要となってくるわけです。


いくら優れた商品・サービスであっても、その商品の購入を通じてユーザーにもたらされる「ベネフィット」をしっかりと伝えることができなければ、ユーザーに商品の魅力・価値を感じてもらうことはできません。
商品・サービスの広告やパンフレット、あるいはWebサイトの商品ページの内容を考えたりする時は「誰に向けて」「どのようなベネフィットを伝えるのか」を常に意識して、考えるようにしましょう。